院長コラム

Director's Blog

NO.19 脳の構造と新脳針 (チック症状について)

NO.18  脳の構造と新脳針 チック症状について

8月に入りすっかり夏本番! お盆も過ぎましたが、まだまだ猛暑が続いています。
皆さまお元気でおすごしでしょうか?
コロナの蔓延も相変わらず、何かと不自由な毎日ですね。
戦争も含め早く平和に暮らせる日が来ること願うばかりです。
そんな中、京都の宇治にある“かさとぴあ” キャンプ場にチャチャと行ってきました。
小川がすぐ近くに流れていて、川遊びができるとても気持ちのいいキャンプ場でした。

 

一方、登山では、奈良県の大峰山脈の大普賢岳に登山してきました。

 

山頂1770m 鎖場と梯子の連続! 大変険しい山で休憩含め9時間の長丁場となり、
くたくたで下山いたしました。
大阪府は周囲が山で囲まれているので、いろいろなアウトドア体験がすぐに出来るところが魅力です。

さて、今回の院長コラム『“ちょっと診ましょう“』はチック症状について…
この猛暑とコロナ禍での夏休み、外出を控え家で過ごす子供たちが多かったのでは
ないでしょうか?
おそらくゲームやTV・YOUTUBEなどでスマホやタブレット漬けになっていたのではないでしょうか?
いまスマホ依存症であらゆる身体に影響を及ぼしているお子様が多くなっています。
その病気の一つでチック症状やトゥレット症候群などが急激に増えています。
チックとは心の病気、心身症精神疾患と思っている人が多いかもしれませんが、チックとは、
脳の運動を司る部位である大脳基底核や指令を送る前頭葉、感情をコントロールする、
大脳辺縁系など、複雑な脳が関係する神経の疾患です。

チック症状の病態には、
セロトニン、ドーパミン、などが関連しています。

 

チックについて
『チック』と『くせ』についてチックは不随運動(ふずいうんどう)の一つで、
自分では意識せず勝手に動いてしまう動きを指します。

チックの定義として…
『単一筋、または複数の筋群に起こる短時間の、素早い、反復する、無目的に見える、常道的な運動』とされています。
また、くせについては特に定義はなく、一般用語で医学的言葉ではないのです。
特に幼児期から学童期以降に発症することが多いため、この時期の成長期にはとても関心を持ちさまざまな行動やサインに注意しなければならないと思います。

 

 

チックの原因
はっきりした原因はわかりませんが
家族歴(遺伝)の場合が多いと言われています。
上記にも触れたように、最近の傾向ではスマホ、タブレット、TVやゲームなどのやりすぎによる依存症で絶えず脳が興奮状態にあるのではとも考えられています。
単純チックは6歳を中心に、複雑チックは10歳をピークに発症しやすく、いずれもよくなったり悪くなったりを繰り返す場合があります。

チックとくせの違い
チックをくせと言っている方も多いと思います。
間違ってはいませんが、『くせ』は一般用語ですので、
使う人によっては意味合いが違ってしまいますね。
おそらく皆さんが使っている『くせ』と言うのは動きが単純で小さい動作、
すなわち単純チックと言う事が多いように思います。

 

 

 

チックの種類と分類
運動チックと音声チックに大きく分かれ、
またそこから単純性と複雑性に分かれます。

単純性チック=極めて短いチックです。最初はただの神経質な癖にすぎない場合もあります。
複雑性チック=複数の単純性チックの組合せで、より長く続きます。複雑性チックの中には、卑猥な言葉や便に関連した言葉を叫ぶこと(汚言)もあります。

チックの診断
病院での診断は症状とその持続時間に基づいて診断されます。
チック症には3つの主要な病型があります。

◎暫定的チック症:運動チックまたは音声チックがみられるが、持続期間が1年以内の場合

◎持続性(慢性)運動または音声チック症:運動チックまたは音声チックの一方だけが1年以上みられる場合

◎トゥレット症候群:運動チックと音声チックの両方が1年以上みられる場合
トゥレット症候群をその他のチック症から区別するため、一定期間にわたって定期的に医師の評価を受けなければならないこともあります。
トゥレット症候群というと汚言を連想する人がよくいますが、トゥレット症候群の人の少なくとも85%には汚言がみられません。汚言を吐いたり他の人の動きや言葉を繰り返したりする複雑性チックは、わざとやっているように見えることもありますが、患者は意図してやっているわけではないのです。
また、チックとともに発生することの多い病気(ADHDや強迫症など)の有無も確認が必要です。

 

チックの治療

西洋医学(薬では)
強迫障がいに対して…SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)
不安障がいに対して…タスドスピロン、L-ドパ療法アスピプラゾール(抗不安薬)
睡眠障がいに対して…ロゼデム、非ベンゾジアゼピン(抗不安薬)

その他の新薬も含め抗不安薬や睡眠系など精神安定剤を使用することが多いです。

東洋医学(自然療法では)

一般的には皮膚に穴をあけない、皮膚を擦るだけの接触鍼(小児はり)を使用することがあり、経絡に沿ったツボや艾の温熱刺激や自律神経系などを安定させるための施術することが多いですが、当院は新脳針で脳神経への確率共振反応を呼び起こす事でチックの改善として施術いたします。

 

 

(当院では祖父から伝わるモグラの手で皮膚を刺激します…頭顔や目の周囲~全身へ)
その他、数多くの“小児はり“の種類があります。

 

 

(当院のお灸療法は籠灸を使用し、艾の”輻射熱”で身体を温めます)

 

(新脳針を受けているAちゃん)

生活環境の改善

規則正しい生活リズム、十分な睡眠、昼間の活動、スマホやタブレットなどの制限が重要と考えます。
そして保護者の理解が必要です。
保護者の皆さんが症状に対して不安になったり、叱ったりすると症状が悪くなることがほとんどです。
強迫性障害があると精神的にはとても過敏になるので、ご両親が不安やイライラすることで 子供はわざとしているわけだはなく勝手に出ちゃうので、親子のコミュニケーションが何よりの処方箋なのです。

当院での症例を一部ご紹介
今回は普段かかわっておる患者様の経過を中心にお話いたします。

①チック(トゥレット症候群)小学5年生、男子。5歳の頃、目をパチパチさせる症状出現。9歳、首をすぼめる、顔を振る、肩をすくめる。いろいろな症状がコロコロ変わる。小児神経クリニックに通院し、Lドパとセロトニンを服用しているが、一向に改善の気配は見られない。甲高い声をあげてしまう音声チックが悪化しており、当院に来院した。
とても緊張しやすい性格で、緊張をほぐしながら施術を続けた。4回目、音声チックが減ってきていると本人が自覚した。6回目、食が細かったが、ご飯をお替りするようになった。12回目、クラス役員に立候補。積極性がみられる。20回目、お母さん「びっくりするぐらいよくなりました」緊張が強いと目をぎゅっとつむり、肩をすくめるチッが出ることがある。30回目、本人「治療をはじめてから、とてもよくなりました」
夏休みも終わり2学期が始まったが、状態は依然として安定しているため、ここでいったん通院終了となった。
6カ月、30回の施術。はじめの10回は、ほぼ1日おき、以降は週1回のペースで通院。

②チック(持続性(慢性)音声チック症)
小学1年生、男子。3歳、まばたき。6歳、咳払い、声が出る。小学校に入学してから、音声、突発的な腕の曲げ伸ばし、肩の突き上げ、が出ている。
癇癪が強い、母子分離不安、夜尿あり。肩の痛みにも苦しんでいる。
1回目、青白い顔から血色よい表情となる。4回目、ニコニコとお喋りしてくれる。肩の痛みは半分に軽減。6回目、肩の痛み消失。7回目、肩の突き上げ減っている。9回目、夜尿がなくなった。家では、音声チックが減少してきている。スマホゲームを減らし外遊びを増やすことを指導する。15回目、ほとんど音声チックが減少、週1回ペースで3カ月来院。

③HP問い合わせの回答より
チックについて現在では、複数の原因が組み合わさって発症される場合がほとんどとされています。
チックの原因について一昔前まで、精神的なものが主な原因だと言われていましたが、
私は個々の自律神経症状や脳の興奮などもあると考えます。
当院で行っている新脳針とは、「全ての不調の原因は脳にある」という考えを基に、独自に研究した脳地図に基づいた頭部のエリアに針を刺して、0.7mmAの微弱電流を流し、刺激を与えて脳神経細胞を活性化させる治療方法です。
新脳針治療では、神経伝達物質の活性化のみならず、ホルモンバランスを整えたり、自律神経の働きを良くしたりすることで、身体本来の力を強化・調整します。
薬とは違い、副作用なく、より自然な自己治癒力で、肉体的なことだけではなく精神的にも理想的な体調に近づけます。
治療と同時に、十分な睡眠と、バランスのとれた食事など、規則正しい生活習慣もたいへん重要です。

今回はチック症状について当院の症例も含め簡単ですがお話ししました。

また次回もお楽しみにしてくださいね。