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本日のオススメ本「コンビニ人間」(村田沙耶香)

以前クレジットカード会社に勤務しているとき、2年間ずっと「紛失」を「粉失」と書いていたバンドウです、こんにちは。

2年目のある日、間違いに気が付いたときには、かなりショックでした。そのときまで私、実はそもそも『紛』という漢字の存在を知りませんでした。

紛らわしい、という漢字なんですね。ほんとまぎらわしい。

粉でも、意味的になんとなくしっくりきません?なんとなくこう、パァっとなくなりそう、というか。ねえ?

と、いうわけで、本日のオススメ本は、「コンビニ人間」です。

書店でいかにもオススメ!とばかりに平積みに山盛り並べられているのを手に取ったとき、まず思ったのが「薄っ!!これが芥川賞!?」でした。

そのときには、ちょうど以前ご紹介した京極のぶっ厚いのを読み終えたところで「息抜きにちょうど良さそう」と思って適当に買ってみました。(なんかすいません)

一般的とされる人たちとは少し感性の異なる主人公が、コンビニで働くことを通じて合理的な「ふつう」の人を学んでゆく話で、感情表現や描写が細かいところに引き込まれ、かつ話のテンポはすごく良くて、イッキ読みです。正直、半日ももたず終わりました。

しかし、感想としては「こりゃ賞とるわ」。

現代版 カフカ「変身」のようにも感じました。

36歳、処女、独身、コンビニアルバイト。

それが、「ふつう」でないからと、犯罪でもないのに、まるで恥ずかしいことのように世間から批判をあびる村社会、日本。

そういった社会の同調圧力を巧みに表現しています。

 

余談になりますが、ふと頭をよぎったのが、たまに同性愛について話題になるとき、結婚制度をどう思うかと問われたら私は迷わず「良いと思う。本人たちがそれを望むなら、異性間と同じように社会からの保証や約束事を得られるべきだと思う」と答えますが、意見が違った場合、微妙な表情が返ってきます。

「なんでダメだと思うんですか?」ときくと、大抵「んー・・だって少子化につながるし・・」などと返答されたりします。

「は!?少子化!?つまり、例えば仮に男性同士の場合を仮定とすると、子を成せないなら種のある男が無駄資源になるから、ということですか?でも結婚制度を認めなかったところで、『あー、結婚できないのなら仕方ないから女性を愛そう』となって、結婚したいけどできない女性の希望の分母が増える、ということにはならないですよ?それは無茶です。そもそも女性に性的な興味がないんですから。たとえ偽装結婚したところでほとんどの場合、実子は望めません。それに、その考え方でいくと、子どもを産めない女性にも結婚を認めるべきじゃないということになりますよね?先天的あるいは後天的な理由が身体にある場合も、年齢を重ねて閉経しても、国に報告してその後の結婚は禁止にするべきだ、というような?だってせっかく種のある男が、子を産めない人間と結婚すると少子化につながるからいかん、という理屈ですもんね?でも、ひどくないですか、それ」と言うと「それは違うけど・・」と。

どこが“違う”のか、理解に苦しみます。しかし当然のごとく、おおむね相手も納得しません。それもそのはず。だって本当は最初から「少子化」が理由で反対だというわけじゃないから。そういうたてまえを述べてみただけ。偏見をもった人間、時代遅れの人間、どう思われるのを恐れてかはわかりませんが、つまるところただの欺瞞です。

年齢的な制限は保護のためにも必要ですが、合意した大人同士であれば万人に公平に、本人たちが結婚したほうが幸せだ、結婚したい、幸せになりたいというならその権利を与えて幸せになってもらって、気分良く大いに働いてもらって税金をおさめてもらうほうが、逆に希望かなわず不幸せで、鬱やらなんやら病気になって健康保険代がかさむより、国にとっても良いように思うのですけれどね。

「私にとっては“ふつう”じゃないから、なんとなくとにかくいや」「なんか気持ち悪い」というなら、それはそれ。

自分と異なる主観はいちいち批判しませんが、欺瞞にも気が付かず、どっかで小耳にはさんだ正論風に思える意見などをもっともらしくふりかざす中途半端な分別が子憎たらしい・・などと感じてまめに粉砕にかかる自分にも未熟を感じつつ・・あ、粉砕は粉でいいのね・・パァっと砕く感じな漢字?といったところで、話を本に戻します。

さて、そんなこんな島国根性がふりかざす「ふつう」に適応して生きていく必要があるのかないのか。

日本社会でのマジョリティとマイノリティの関係性をリアルに表現した物語です。ご一読ください。

 

前田針灸接骨院 大阪本院 バンドウ