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本日のオススメ本「死神の浮力」(伊坂幸太郎)

あざらしの毛皮で作られたお財布を使っているのですが、ふと見ると毛皮の一部に寝癖のようなものがついていて、濡らして押さえつけて戻したら、今度はそこがちょっとカピカピしてペタンコになってしまい、気になっているバンドウです、こんにちは。

スカルプケアのシャンプーリンスでもしてやろうかしら。

そんなこんなで本日のオススメ本は、ちょっと前に熱烈にオススメした伊坂幸太郎さんの別本です。

以前ご紹介したのは「殺し屋シリーズ」なるもので、その次にハマったのが「ギャングシリーズ」、その後に、人にオススメされて読んでみたのが、今回のオススメ、「死神シリーズ」です。

シリーズといっても2冊しか出ていないのですが、最初は「死神の精度」、こちらは短編をつなぎ合わせた作りながらも全体に話がつながっている一冊。次に出たのが、「死神の浮力」。こちらはガツンと長編1本ものです。順番通り、精度⇒浮力、と読むことをオススメしますが、私は2作目の長編の方が好きでした。しかし口コミなどを見ると、半々くらいに「短編のほうが良かった」と言う声もあるので、そこらへんは好みなのでしょうね。

この二冊は、死神というくらいなので、まんま、死をテーマにした作品です。

みためは人間のように見える死神たちが、死の1週間前から死亡予定者の近くにあらわれ、査定をし、「可」と報告すれば対象者は予定通り死亡します。

死神には死神のルールや環境や概念があるので、これは、私たちが思うところの「だってひどいし」などというジャッジとは全く別の次元のもので、つまりは大方が「可」となります。それもそのはず、世の中には理不尽な事故や事件や死があふれかえっているし、それが実際なのに死神が道徳観念で判定していたら矛盾します。

サイエンスフィクションであっても、どこかに“整合性”、“現実味”がある、しっかりした設定であるからこそ、「これ、ありじゃないか?」と世界観にはまりこめる、そういう作品が好きです。

死神は全員「ミュージック」に目がなく、大好きです。死神は全員、地名が名前になっています。ちなみに主人公は「千葉」です。死がテーマなので暗くなりがちな話を、この千葉の常にひょうひょうとした滑稽なまでに真面目な言動が髄所に面白みをあたえています。

千葉は渋滞が嫌いです。ちなみにバンドウは絡まった紐状のものが大嫌いです。

 

長編の「死神の浮力」のほうは、「愛娘の死」「サイコパスな殺人者」「人生をかけた復讐」という、これ以上ないくらい、哀しい設定のものになっています。動機となる事件が居た堪れなくて、最初の方は読んでて辛く、重く、陰鬱な気分になりますが、犯罪者を追いかける夫婦の逼迫感を千葉のトンチンカンな緩い答えが中和してくれますのでなんとか頑張れます。

中盤、「え、そうなるの?決定?すっげぇいや・・この先それを見届けなあかんの?」という、鬱々マックスな気分で不満な気持ちを抱えながら読み進め、 それがいよいよ終盤、まさかの、「げ‼️マジ⁉️え、そーくる!?うわ、えげつなっ!こっわ!よー思いつくわ、井坂さん恐ろしっ!絶対敵に回したくないわ‥惨すぎるわ、いやーーーーーーーーー‥はぁ‥

スッキリしたぁーー、満足だわ。ざまみろ。ありがとう神様。いや、死神様。これでよく眠れます」的な。ほんでもってラストのラストはふわっとした着地。

 

わけわからないでしょ。でもあんまりネタバレするわけにもいかないので。モヤモヤして嫌なら読んでみてください。百聞は一見にしかず。至言です。

それではまた二週間後に。

 

前田針灸接骨院 大阪本院 バンドウ