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本日のオススメ本。「しゃばけ」シリーズ(畠中恵)
長崎屋という廻船問屋兼薬種問屋の跡取り息子・一太郎と妖(あやかし)たちの日常と、彼らの周囲で起こる様々な事件を解決していく話で、同時に若だんなの成長物語でもある。病弱な若だんなが、可愛らしくユニークな妖(あやかし)とともに、推理物のような謎解きをしていく珍しい作品。映画化もされたことで、すでに知っている人も多いかと思う。
いくつも魅力のあるこの作品だが、大きく分けて3つの特徴がある。
1:時代物のミステリーであること
2:コミカルで魅力的な妖怪たちが登場すること
3:若だんなの成長物語であること
それらの3つの要素がキレイに融合しているからこそ飽きることなくこのシリーズがずっと人気を誇っているのではないかと思う。シリーズが進むにつれて1の時代物のミステリー要素が減ってきているような気もするが、やはり誰も解けない謎を、外出もままならないほど虚弱の極みである若だんなが、弱い身体と聡い頭で解決していく様は外せない要素である。
個人的には、大事な一粒種の一太郎のそばに、幼いころからいつも傍にいる、犬神である佐助と白沢である仁吉という兄やたちがお気に入り。彼らの、一太郎への溺愛を通り越したような「下にも置かず、風にも当てず!」といった尽くし方が妙に愛おしくて、何百回も同じようなくだりを繰り返されても、飽きずに面白い。それはもう度を越えて徹底的なもので、若だんなの事だけが1番で、そのあとは2番も3番もないという甘やかしっぷり。加減のなさが鼻につくどころか、あやかしらしさをより醸し出していて妙に納得したり、一太郎の性質の良さを際立たせていて、しまいには共感してしまったりする。
のんびりと、どこかほっとする、10代でも楽に読める時代もの。
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。オススメです。
前田針灸接骨院 大阪本院 バンドウ