院長コラム

Director's Blog

SCD・MSA・PDと新脳針

SCD・MSA・PDと新脳針

いよいよ12月に入り、冬本番となってきました。
皆さまお元気でしょうか?

先日、銀座回診日の休日、奥多摩の川苔山(1360M)へ登頂してきました。
ちょうど紅葉は真っ盛りで、関東地方からの日帰り登山客で奥多摩地区はたいへんにぎわっていました。
東京から奥多摩行きの青梅線は朝のラッシュかと思うくらいの込み合いで、
しかも皆さんリュックを背負っての混雑状況・・・さすが都会の紅葉登山の行楽シーズンだと思いました。

【行程】
東京駅6:00→奥多摩駅7:45→川苔橋8:45→百尋の滝10:00→川苔山頂上11:30→鳩ノ巣駅14:30→東京駅17:00

奥多摩駅から川乗橋まで一般的にはバスに乗りますが、私は約50分徒歩で登りました。

 

川苔橋が登山口・・・ここからスタート

 

途中の”百尋の滝” マイナスイオンたっぷり

 

 

川苔山登頂 1363.2ⅿ 富士山が綺麗に見えました。

 

下山のピッチを早くしたら・・・時々発生する右膝の腸脛靭帯炎が発症!

膝を引きずりながら後半バテバテで鳩ノ巣駅に下山しました。
※楽しくてウキウキ!調子乗りすぎると・・・降りの膝痛で1時間はロスしました

 

鳩ノ巣駅から夕陽を浴びる・・・

この日は太陽からの光線と山、滝からのマイナスイオンをたっぷり・・・生きるためのエネルギーを吸収してきました。

いつも登山が出来る身体に感謝し、自然界からの蓄えたエネルギーを難病を抱えた患者様に分け与えられるように!
私の出来る限りのことを差し上げたいといつも思いながら山へ出かけています(^O^)/

 

さて、今回の院長コラム:
”ちょっと診ましょう” は当院の難病患者様の中でも来院が多い・・・

多系統萎縮症(MSA)
脊髄小脳変性症(SCD)
パーキンソン病(PD)
についてのリセプター療法についてお話いたします。

いずれも脳に関する退行性病変の症状であり、
歩行困難が主体となります。

リセプター療法とは・・・

私は長年、障がい者スポーツ(パラスポーツ)に携わってきました。
パラリンピックの選手たちが残された身体能力を如何に能力を発揮させることが出来るか…など常に選手たちと向き合ってきました。

その活動を通じて得た知識と感覚で一人ひとりに合わせたプログラムを難病の患者さまにも技術を提供したい思いで、
リセプター療法を考案しました。

リセプター療法は スポーツ指導で行われるコーディネーショントレーニングの発想も取り入れ、感覚統合療法の概念も組み合わせた私独自で考案した運動メニューです。
「リセプター」とは、受容器(受容体)という意味で、人間は刺激を受けるすべての細胞や組織にたくさんのリセプターが存在します。
さまざまな外部からの刺激情報はリセプターが受け入れ、感覚情報として変換し、それをまたエフェクター(効果器)から発出させると言った運動の流れが出来るのです。

HPリセプター療法について

https://maeda-shinkyu.com/

 

新脳針は頭皮に刺鍼し0.7mA超微弱電流を確率共振反応として頭蓋骨を通して脳に注入され、
確率共振反応は脳エリアの神経ネットワークを拡大し、それぞれの脳エリア役割情報を繋げようと反応します。

その新脳針と併用としてリセプター療法は身体から脳への反応を高める事が期待されます。
よく耳にするリハビリ・理学療法・運動療法・感覚統合療法を組み合わせ、楽しく愉快に・・・苦痛にならない事が、
脳に ”出来た!” ・・・成功体験として記憶・学習されるのです。
その患者様の病状に合わせ、伸ばせるところに注目し身体能力を上げる事を目的にしています。

 

パーキンソン病(PD)

脳内の中脳にある黒質という部分から作られるドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が作られなくなり不足することで以下のような症状が全身に現れます。
ドーパミンは快楽ホルモンと呼ばれ心を愉快にしてくれる重要な神経伝達物質なので、辛い悲しい時には出にくく、楽しい時や愉快な時に出やすい神経伝達物質なのです。

つまり辛い悲しい事が日常多いとドーパミンが出にくくなりパーキンソン病になりやすくなるのです。
顔の表情が乏しく仮面様の顔になり、手がフラフラふるえ、歩く時の一歩が出にくくなってくるのです。

だから・・・私は少しでも楽しく、明るく、陽気に患者様とリセプター療法の時間を作ります。

 

PDの症状としては・・・

  • 安静時の手足のふるえ
  • 歩きにくさ(突進歩行・小刻み歩行)
  • 姿勢が前かがみになってくる
  • 動作緩慢(動きにくさ)
  • 平衡感覚やバランス能力が低下する
  • 顔の表情が乏しくなる

 

 

その他にも・・・

・便秘 ・腰痛 ・呂律が回らず声が小さい
・バランス感覚の低下(姿勢反射障害)
・うつ病 ・食欲低下 ・不眠
などが発症する事があります。

 

ノルディックポール歩行

手足の連動を確認、スムーズな運動リズムを獲得できます。

バドミントンラケットでボールを落とさずに歩行

視覚・聴覚・位置感覚から集中力をつけ、
手の振戦(ふるえ)にたいへん有効です。

写真にはありませんがミニハードルを使用し、
歩幅や足裏の感覚も学習いたします。

この写真のお顔は少し表情硬いですが、とてもおしゃべりして、
楽しくできました。

次に・・・
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症(SCD・MSA)

神経難病の一つで、小脳を中心に中枢神経系(小脳、脳幹、大脳、脊髄からなる神経組織)が広く萎縮する原因不明の進行性の疾患です、中枢神経系のどの部分が障害されるかによって症状が変わります。脊髄小脳変性症(SCD)には非遺伝性のものと遺伝性のものがあり、非遺伝性は70%、遺伝性は30%と言われています。非遺伝性の中に多系統萎縮症(MSA)があります。

 

 

脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)の症状は難しい病気なので、リセプター療法を始める前に患者様の状態と日常生活について確認します。

この写真は、”構えの姿勢ポーズ”、あらゆるスポーツでこの構えの姿勢は身体の土台作りで、身体ポジションをとるにとても重要な姿勢なのです。

脊髄小脳変性症・多系統萎縮症(SCD・MSA)のリセプター療法は、
新脳針にオプションプログラムとしてリセプター療法を組み合わせた治療計画を立てていきます。
新脳針は萎縮して弱っている神経よりも残されている神経細胞を活性化させ、リセプター療法では、少しでも代償作用として残された機能を向上させることを目的に身体をフォローしていきます。

 

 

リセプター療法ではどこまで行動ができるのか、今、残されている能力をどのように使うかを考えを意識し、進行を抑え、現状維持を目指し、そして改善へと向かうように施術を進めていきます。

 

次の患者様はパーキンソン(PD)多系統萎縮症(MSA)を合併している状態です。

 

 

↑の写真
ぶら下がり健康器(鉄棒)では身体を長軸に伸ばします。

歩行する事が困難な患者様には立位状態で足踏みや手関節で鉄棒を把握し体幹を揺らす動作を行います。

 

ボールプレー(掴んで渡す)
視覚情報、聴覚情報からつかむ動作、離す動作など手足の位置感覚を高めます。

 

バランスボールに乗って上下・左右の体幹バランス力を高めます。
少し補助は必要ですが、かなりのバランス力がつきます。

 

いつも笑顔が絶えないNさん、
この日も元気にリセプター療法を頑張りました。

皆さま、単純な動きですが、たいへん機能的に向上し、少しでも歩行しやすい身体つくりができるようになってきたと、
感じていただいています。

無理なく、楽しく笑顔で出来る運動がリセプター療法なのです。

 

いよいよ、年末も近くなり、冬本番となってきました。

身体は寒いと硬直し、神経伝達も弱くなります。

少しでも温かくし、動きやすい身体を習得して、寒い冬を乗り切りましょう!
皆さま・・・お元気で!