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本日のオススメ本「半落ち」横山秀夫(よこやまひでお)

こんにちは。本日のオススメ本は、横山秀夫さんの「半落ち」です。

これも寺尾聡さん主演で映画化もされ、作者の作品の中でもベスト3には入ろうかという有名昨品です。この作者の作品自体、外れがなく、奇をてらわない素直な筆致で読ませて、すっと沁み入る、そんな感じです。なんでも元は記者、しかも、警察づきの記者だったそうで、いずれの作品も嘘っぽくない内容は、その下地のせいなのかもしれません。

『半落ち』は警察用語で、取調官に対して被疑者が洗いざらい事実を自供しないことです。現職警察官、梶総一郎(49歳)は、アルツハイマーを患う妻、啓子を殺害し自首してきます。容疑は嘱託殺人。動機も経過も素直に話しますが、殺害から自首までの空白の二日間の行動だけは語ろうとしません。県警は現職警察官の殺人に震撼します。

梶総一郎の澄みきった瞳に隠されているものとは。「完落ち」できなかった取調官、志木のとった行動は。
最後は感動的な結末で終わります。しかし、著者横山秀夫氏のメッセージは感動の結末ではないような気がします。藤林裁判官の父もアルツハイマーで妻の澄子が介護をしています。梶は妻に、澄子は舅に「死なせて欲しい」と言われます。自分の手を汚した梶総一郎の優しさと、殺さなかった澄子の優しさと。人間の尊厳を問われる小説です。ご一読ください。

大阪本院 前田針灸接骨院:バンドウ