院長コラム

Director's Blog

足三里穴の偉大な効果

ちょっと診ましょう

 

2024年を迎え、アッツと言う間に2月となりました。
久しぶりの『ちょっと診ましよう』になりましたが、
今年も一年頑張って投稿していこうと思っています。

さっそくチャチャの話題からですが…
我が家の愛犬「チャチャ」パグ犬 雌14歳、いよいよ立てなくなり、
その介護の時間に追われています。

しかし、チャチャは自力で立てないものの、食欲はあり良いウンチも出て、
力強く良く鳴きます。

だけど、私達が仕事で留守中、一日中ずっと家で過ごすのはとても、
困難であるため、今年に入りチャチャと出勤し事務所に居させる事にしました。

私も妻も安心です。

 

さて…

今回の”ちょっと診ましょう” は、先日、NHKフロンティアで東洋医学の最先端についての放送がされていました。
そして各国の鍼灸や漢方の現状の内容をピックアップし、
『東洋医学とは何か』と題して、鍼灸と科学についてお話ししたいと思います。


この写真は・・・鍼灸や漢方などがいつの時代から治療として施されていたのか? それは遠い昔の5千年前、
1991年にイタリア・オーストラリア国境付近にあるアルプスの氷河から奇跡的に発見された「アイスマン」からその謎が解き明かされてきました。

アイスマンとはミイラの呼称で、その身体の背中や足など、現代の経穴・ツボとされる場所に刺青の跡があった事から・・・
治療目的で鍼治療が発祥されていたのではと推測されています。

 

その頃から東洋医学と言える治療がなされていたとは・・・
5000年前の先人達から現代人長年の治療経験と、各国の医学と融合により、
鍼灸理論を科学的根拠として今日に確立されてきました。

中国医学3000年と言われる歴史をはるかに上回る、驚異的な治療経験から現代にいたるのでしょう。

 

その鍼灸を科学の根拠ともいえる、足三里の偉大な効果と迷走神経との関係についてお伝えいたします。

 

私達は病になる時、さまざまななウイルスや細菌と戦いなが生きていますが、体力や気力が落ちた時に
さまざまな病にかかっていきます。
鍼灸や漢方は感染した体内の炎症を抑えて身体を守るメカニズムを活性化してくれるのです。
そして難病の治療にも多くの効果をもたらす事ができるのです。

 

各国ではさまざまな鍼や灸、漢方薬など東洋医学として、さまざまな手技がなされています。

では、その一部をご紹介致します・・・

南アフリカ ダーバンにあるベルヘブンメモリアルセンター内のモクサアフリカのマーリン・ヤング鍼灸師は南アフリカ国内で薬物依存症になった方々へ「足三里」にお灸をする事で、疲労や睡眠障がいの改善に大変効果があり、免疫力の強化などさまざまなサポートをし、また耳介付近のツボ刺激により、迷走神経を介してエイズやマラリアなどによる感染症に対しても効果を高め、貧しい人々に安価で手軽な治療法だと、凄く喜ばれています。

その活動はたいへんな効果を及ぼし薬物依存症から解放される人々が増えているそうです。

(患者自身が足三里にお灸をしているシーン)

 

特に『足三里』のツボは非常に効果があり、他にもさまざまな作用をもたらします。

 

また、メキシコのベニート・フアレス自治大学・ロサス教授は細菌やウイルスの感染が原因で全身に炎症が発症する敗血症患者に鍼灸を施術しました。

 

たいていの人は細菌やウイルスに感染すると自己免疫力のシステムが働き免疫細胞が活性化し、病原体を攻撃し感染を抑え込む事で炎症反応が起きます。

しかし免疫細胞が働き過ぎると自分の細胞まで攻撃し、血管や神経までも攻撃してしまうのですが、マウス実験で敗血症を起こしたマウスの足三里に鍼灸を施す事で、
その過剰な攻撃を抑える事が証明されたのです。

南アフリカのもぐさと同様、足三里への鍼刺激は炎症を抑える非常に強い効果が確認され組織を回復する効果が確認されました。

 

 

【足三里穴と迷走神経】

足三里は全身を巡る神経(迷走神経)に働き、足三里を鍼で刺激するとシグナルは脊髄を登り、そして脳に到達するのです。
その脳から発する迷走神経のシグナルは脳から身体に降りる際に心臓や肺など各臓器にメッセージを伝えるたいへん重要な神経なのです。

臓器と臓器の間に、まるで迷走するかの様に張り巡らされる迷走神経は臓器同士の会話を起こさせるメッセンジャー物質が飛び交い、お互い助け合い、
生きるすべを持たせるのです。

ほぼ全身に張り巡らされ迷走するので、このような名前がついた迷走神経は、特に脳から腎臓の副腎皮質に到達し、ドーパミン(神経伝達物質)を放出し、血管を通じて全身を巡って行くのです。

≪※ドーパミン=脳では意欲や幸福をもたらし、そして免疫にも関係している≫

ドーパミンが暴走している免疫細胞に結合すると免疫細胞の暴走がストップ、炎症物質の放出が収まり全身の炎症反応が収まると言う…炎症を抑える事で、さまざまな病気の治療に役立ちます。

 

鍼灸は糖尿病や動脈硬化、腰痛、肩こりなどの慢性病、そしてうつ、不安などの精神疾患にも効果をもたらし、パーキンソン病や脊髄小脳変性症、
ジストニアなど難病の治療にも期待がもたされます。

今後も鍼灸の科学的な研究が進む事で、その効果を正しく評価する事が可能となりました。
鍼灸はもはや『東洋の神秘』ではなく、科学的な裏付けを持つ治療法なのです。

 

 

また、次回も鍼灸と科学についてお話しできればと思っております。

 

コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど感染症にかからないよう、
未病としても鍼灸をおすすめいたします。

もうすぐ私の一番大好きな季節・・・春
陽気で明るく元気な身体で春を迎えましょう!

院長